肩の辛さ
「腕を上げると肩が痛む」「寝返りを打つたびにズキッとする」「服を着替えるのもつらい」
そんな肩のトラブル、年齢や生活スタイルに関係なく、さまざまな方に現れます。
肩は非常に可動範囲が広く、繊細な構造をしている関節です。その分、筋肉・腱・神経などへの負担も大きく、痛みや不調が出やすい部位でもあります。
今回は肩に関する代表的な疾患や症状について詳しく解説していきます。
こんな症状でお悩みではありませんか?
- 肩が痛くて腕が上がらない
- 夜、肩の痛みで眠れない
- スポーツで肩を痛めた/動かしにくくなった
- 肩のしびれや腕の脱力感がある
- 肩周りの重だるさが取れない
首の痛み・つらさの主な原因と考えられる疾患
①四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
概要:
加齢や血流低下などにより、肩関節を構成する組織に炎症が起こり、動かすと痛みが出たり、腕が上がらなくなる症状。40〜50代に多いため、四十肩・五十肩と呼ばれます。
症状の特徴:
- 肩を動かすと痛む/夜間痛が強い
- 髪を結ぶ・洗う、背中に手が回らない
- 放置すると“凍結肩”といって固まってしまうことも
こんな方に多い:
- 中高年層の男女
- デスクワークや運動不足による血流不良
- 姿勢が悪く肩関節の可動域が狭くなっている方
② 野球肩(肩関節障害)
概要:
スポーツや繰り返しの動作によって肩関節に過剰な負荷がかかり、炎症や損傷が起きる障害の総称。特に投球動作や腕を振る動きが多いスポーツに見られます。
症状の特徴:
- 投げると肩の奥に痛みが走る
- だんだんボールが投げられなくなる/パフォーマンス低下
- 肩が“抜けそうな感覚”や不安定感がある
こんな方に多い:
- 野球、バレーボール、水泳など肩を酷使する競技者
- 成長期の子どもや学生アスリートに特に多い
③ 腱板損傷(けんばんそんしょう)
概要:
肩関節を安定させる「腱板(ローテーターカフ)」が炎症・断裂・変性などを起こした状態。加齢による変性や外傷が原因で、肩の動きに深く関与しています。
症状の特徴:
- 腕を上げると痛む(特に90度前後)
- 腕が上がらない/力が入らない
- 夜間に痛みが強くなる
こんな方に多い:
- 40代以上の方
- スポーツや重い荷物を扱う仕事の方
- 転倒や外傷を経験した方
④ 滑液包炎(かつえきほうえん)/インピンジメント症候群
概要:
関節の動きを滑らかにする「滑液包」が、使いすぎや圧迫によって炎症を起こす状態や腱や滑液包が骨とこすれ合って痛む状態。
肩の他、肘や膝にもよく見られます。
症状の特徴:
- 肩の前側や上部に腫れと熱感、圧痛がある
- 肩を動かすとズキッとする痛み
- 痛みの範囲が比較的局所的
こんな方に多い:
- 重い荷物を持つ習慣がある方
- スポーツや肉体労働をされている方
- 姿勢が悪く、肩に負担がかかっている方
⑤ 胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
概要:
首〜肩の間にある「神経・血管の通り道(胸郭出口)」が、筋肉や骨により圧迫されて起こる症候群。腕のしびれ・肩こり・手の冷えなど、多彩な症状が出ます。
症状の特徴:
- 肩〜腕にかけてのしびれ・重だるさ
- 手の冷感や力が入りにくい
- 鞄を肩にかけると腕がしびれる
- デスクワーク後に肩〜腕がつらくなる
こんな方に多い:
- デスクワーク・長時間のスマホ操作が多い方
- 猫背や巻き肩の姿勢が強い方
- 細身の女性や長身の男性に多い傾向
肩の痛みを「年のせい」で片づけないで
肩の不調は、加齢や姿勢、使いすぎなどが重なって起こりますが、適切なアプローチによって改善が十分可能です。
痛みの原因を明らかにし、関節・筋肉・神経の状態を総合的に評価することで、回復までの道筋が見えてきます。