妊娠・産後
妊娠、出産、そして産後。
この一連のライフステージは、女性の体にとって非常に大きな変化の連続です。
「お腹が重くて腰が痛い」
「つわりがつらい」
「産後に体型が戻らない」
「気分が不安定で涙が止まらない…」
妊娠・出産という幸せな出来事の裏には、体と心のさまざまな悩みが隠れています。
東洋医学では、このような“変化の時期”を「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスが崩れやすいタイミングととらえ、やさしく整えることを大切にします。
今回は、妊娠中と産後に多い悩みと当院の施術、ご自宅でできるセルフケアをご紹介します。
よくあるお悩み
妊娠中の症状
妊娠期間中は、ホルモンの変化や子宮の拡大によって、全身にさまざまな症状が現れやすくなります。
- 骨盤のぐらつき、尿もれ
- 腰痛・股関節通・恥骨の痛み
- 肩こり、背中の張り
- むくみ、足のだるさ
- 便秘や胸やけ
- つわり(吐き気・食欲不振)
- 不眠、気分の浮き沈み
産後の症状
産後は体力・筋力・ホルモンバランスなどが大きく変化します。特に産後6〜8週間は「産褥期」といって、心身ともに非常にデリケートな時期です。
- 骨盤のぐらつき・尿もれ
- 腰痛・肩こり・腱鞘炎
- 慢性的な疲労感
- 体型がもどらない
- イライラ・涙が出る
- 母乳トラブル(張り・つまり)
つらさの原因
妊娠中のつらさの原因
① ホルモンバランスの急激な変化
- 妊娠初期に増える「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」などのホルモンが、つわりや情緒不安定を引き起こす
- 妊娠中期以降は「リラキシン」などにより関節や靭帯が緩み、骨盤が不安定に → 腰痛や股関節痛に
② 子宮の拡大による内臓の圧迫
- 胃や腸が圧迫 → 胸やけ・便秘
- 横隔膜が押し上げられる → 息苦しさ
- 膀胱が圧迫される → 頻尿
③ 姿勢の変化・バランスの崩れ
- お腹が大きくなることで重心が前に移動
- 腰が反り、肩や首に負担 → 腰痛・肩こり
④ 血流・リンパの流れの悪化
- 下半身の血流が滞りやすくなる → むくみ・だるさ
- 長時間同じ姿勢や立ちっぱなしでも悪化
⑤ 精神的ストレスや不安
- 「無事に出産できるかな」「仕事や家事との両立が不安」など、妊娠中はメンタル面でも不安定になりがち
産後のつらさの原因
① 出産による体力と筋力の消耗
- 分娩で体力を大きく消耗
- 腹筋・骨盤底筋が緩むことで、体を支える力が低下
② 骨盤の開き・歪み
- 出産時に開いた骨盤は、しばらく不安定な状態に
- この骨盤の歪みが腰痛・股関節痛・恥骨痛・尿もれの原因に
③ 抱っこや授乳による筋肉の酷使
- 前かがみや同じ姿勢での作業が増える
- 肩こり・腱鞘炎・背中の張りが起こりやすい
④ 睡眠不足と生活リズムの乱れ
- 赤ちゃん中心の生活で夜間も頻繁に起きる
- 疲れが取れない・思考力の低下・情緒不安定につながる
⑤ ホルモンバランスの急降下
- 出産直後に妊娠を維持していたホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が急激に減少
- 情緒不安定、抜け毛、イライラ、涙もろさなどが起きやすい
⑥ 母乳育児の影響
- 栄養・水分が不足しがち → 体力低下・貧血気味
- 乳腺炎や張りなど、胸のトラブルもストレスに
施術について
◆妊娠中の施術について
妊娠中でも施術は受けられます
妊娠中はお体に負担がかかりやすく、不調が出やすい時期です。
当院では、妊婦さん特有のお悩みに配慮した、やさしい手技による施術を行っております。
- 腰痛・股関節痛
- 肩こり・背中の張り
- むくみ・足のだるさ
- 恥骨の痛み
- お腹の張りによる姿勢の不安定さ など
妊娠初期(〜15週頃)は、お体が大きく変化している非常にデリケートな時期です。
妊娠初期であってもお身体の状態によって対応可能ですが、基本的には安定期に入ってからの施術を推奨しています。
まずは事前にご相談ください。
妊婦さんへの配慮を徹底
- 横向きや仰向けなど、安全な体勢での施術
- お腹を圧迫しない姿勢と内容
- 体調に合わせて施術時間や強さを調整
- 妊婦帯の着用アドバイスや日常の姿勢指導も行っています
◆ 産後の施術について
産後でも施術可能です(産後1か月〜目安)
出産後は、骨盤が開いた状態で不安定になっていたり、筋力が低下していたりと、体が「回復途中」にあります。
産後1か月を目安に、体調が安定してきたタイミングでの施術をおすすめしています(帝王切開の方は、医師の確認が必要な場合があります)。
こんなお悩みに対応しています
- 骨盤のゆがみ・ぐらつき
- 腰痛・肩こり・腱鞘炎
- 恥骨・尾骨の痛み
- 体型の戻りにくさ
- 抱っこ・授乳による姿勢の崩れ
- 育児疲れによる全身のだるさ・緊張
骨盤矯正を含む産後ケア
産後は、骨盤の調整がとても大切な時期です。
正しいタイミングで無理のないケアを行うことで、姿勢改善・スタイル維持・腰痛予防にもつながります。
また、産後は睡眠不足や自律神経の乱れにより、心身ともに疲れやすくなっています。
リラックスできる環境で、お母さん自身が「整う時間」を持つことも、育児にとって大きな支えになります。
妊娠中・産後におすすめのセルフケア
1. 冷え対策で血行をサポート
- 足元やお腹を温める
- 靴下・レッグウォーマー・腹巻を活用
- 温かい食事・飲み物を意識
2. こまめなストレッチと軽い運動
- 肩回し、骨盤まわし、背中の伸ばし運動など
- ウォーキングやマタニティヨガも◎(主治医の許可を得て)
3. 食事で体を内側から整える
- たんぱく質:肉・魚・豆製品・卵など
- 鉄分:レバー、ほうれん草、小松菜など
- 発酵食品・食物繊維:腸内環境を整え便秘予防に
4. 気持ちのケアも忘れずに
- 自分を責めないこと
- 「頑張らない日」をつくる
- 話を聞いてくれる人とつながる(友人・専門家・助産師など)
がんばりすぎない産前産後を
妊娠中も、産後も、完璧じゃなくて大丈夫です。
「調子が悪いな」「ちょっとつらいな」と思ったときに、すぐにケアできる環境があることが何より大切です。
もしつらい症状が続いたり、日常生活に支障をきたすようなときは、かかりつけの病院や当院へご相談ください。